筒井先生の「態癖」について
その取り組みの一つに、筒井先生の「態癖」と言うのがあります。
これは整体操法の「体癖」とは違いますが、整体的なアプローチにとても近いです。整体操法や「体癖」の影響があるのではないかと思っています。
態癖とは、日常生活の中で無意識に行うさまざまな悪習慣です。
①口腔周囲の態癖
指しゃぶり、舌癖、口唇癖、えくぼ癖、楽器癖など。
②狭義の態癖
あごから下(中顔面、下顔面)に直接外から力が加わる癖を狭義の態癖と言います。頬杖や体育座りで膝の上に顎をのせたり、うつむき姿勢のゲームや読書などです。横向き寝、うつぶせ寝などの癖を言います。
③広義の態癖
長期間、体を歪ませる力が肩・首の上を歪ませている癖を広義の態癖と言います。職業癖や家事癖、編み物などの趣味癖、片方でばかり荷物やカバン持ったり、ショルダーバッグを斜めにかけたり、長時間に及ぶ運動の偏りや運動器具の使用によるスポーツ癖や睡眠中などの癖を言います。
このささいな態癖が長期に及ぶと、単に歯がその癖で動かされるだけでなく、顎顔面口腔(がくがんめんこうくう)の領域や全身(姿勢や筋肉など)に悪影響を及ぼすこともあります。つまり、顔かたちや歯並び、呼吸や食事の噛み合わせに良くないということです。
咬み合わせが悪いと全身が歪みますが、全身が歪むと咬み合わせも歪みます。
歯はたった5gでも持続的な力が働けば移動しますので、上記の態癖があると、いくら歯を治療しても治らなかったり、再発することがあります。歯の治療や歯並びの治療だけでは、本当の解決にならないので、この態癖を改善することによって、口腔の問題を解決しようと取り組まれている歯科医も多くいます。
これはほんの一例で、私が知っているだけでも、川邉先生の「姿勢咬合」など志のある歯科医がいろいろな方法を考案したり、今井先生の「あいうべ体操」など、多くの歯科医が真摯に柔軟に良い方法を取り入れて現場で活躍されています。
参考
・顔・からだバランスケア―お口の健康を保つために
筒井照子著
医歯薬出版
・『歯科衛生士』別冊(2016年3月号)
筒井照子、合田幸枝
クインテッセンス出版
・「Dhstyle」抜刷(2016年8月号)
筒井照子、小川淳、大山繁幸、西林滋、川口敦、中村由希子
デンタルダイヤモンド
・態癖と生活習慣のアドバイス
筒井照子