体内時計について

生物には、外部環境の変化に内部を合わせていくシステムが内蔵されていて、その一つが体内時計です。

 

1997年に哺乳動物の時計遺伝子クロックが発見され、体内時計は脳だけではなく、末梢のほぼ全身で機能していることがわりました。

 

この体内時計がくるうと、睡眠障害、時差症候群(時差ボケ)、季節性の感情障害、精神疾患だけでなく、さまざまな病気になることが分ってきています。

 

 

概日時計と体内カレンダー

 

地球の自転周期(1日24時間)に合わせてできる、体内時計の周期を「概日時計サーカディアンリズムと言います。

 

「一日時計」ではなく、概日(がいじつ)なのは、生物によって周期が、24±4時間の幅があるからです。人間の睡眠と覚醒の自発周期は約25時間です。


地球の公転周期(1年365日)に合わせてできる、季節性の体内時計の周期を「体内カレンダー」と言います。

 

体内時計があることで、睡眠調整をしたり、季節に適応した内部環境を構築することができるのです。

 

日月星辰は、たえず運行し、天気も移ろいます。

 

私達の心や体もゆらいで変化しますが、天体や天気の働きは人間の変化よりも大きく、私達の心身や生活に大きな影響をもたらします。

 

外部の環境が、ある程度一定の周期で変化するのであれば、私達もその周期に順応して生活することが合理的です。

 

そのため、その日暮らしの天候の判断だけで生きていくのでは、生命にとって確実性が低いので、出来る限り安全に生きていくためには、内部に環境予測システムが必要不可欠になります。その役割を体内時計は果たしています。

 

体内時計は、人体だけでなく、動植物や虫、菌類やバクテリアにもあり、また細胞の中にも存在しています。

 

 

中枢と末梢の体内時計

 

人体の体内時計は、中枢と末梢に区別できます。

 

「中枢の体内時計」は、約25時間周期で脳の視交叉上核(しこうさじょうかく)にあります。

 

「末梢の体内時計」は24時間周期で、ほぼ全身(臓器や皮膚など)に分布しています。


中枢と末梢の体内時計は、オーケストラの指揮者と奏者のような関係であり、末梢は中枢の指示の従って協調し、人体の調和を保っています。

 

 

中枢の体内時計

 

「中枢の体内時計」の働きは、目の奥にある直径1mmほどの視交叉上核がコントロールしています。

 

「中枢の体内時計」は、約25時間周期ですから、夜更かしなどしたら、就床時間が遅くなり、ズレてしまいます。

 

私は、約25時間周期があるから、より外部環境に順応できるのだと考えています。

 

地球の自転周期(1日24時間)によって、地球に太陽の光が当たる場所と当たらない場所の時間の差ができてしまいます。

 

この周期が約25時間であることで、人間が地球を移動するために生じる、周期のズレを調整するための時間ではないか思います。

 

この約1時間が、遠距離の移住や高速移動などによるリズムのズレを調整して、新しい環境に適応したり、天変地異の対応や夜更かし、仕事時間の延長や看病などによる生活適応をスムーズすることができるのではないかと思います。

 

就床時間が遅くて、ズレてしまうことから、いくつかの概日リズム睡眠障害になることがあります。

 

 

概日リズム睡眠障害について

 

・「睡眠相後退症候群」とは、寝ている時間が後ろにあること、つまり体内時計は後ろ(深夜)にズレてしまっている状態です。休日などで無制限に眠れる環境だと、お昼まで寝てしまうということが特徴です。

若い男性に多いリズムの病気です。体内時計が夜なのに、無理やり起きて学校や会社に行くのですが、午後にならないと頭が働かず能率が悪いです。

 

・「睡眠相前進症候群」とは、寝ている時間が前にあること、つまり体内時計は前(夕方)にズレてしまっている状態です。

お年寄りに多いリズムの病気です。朝早く目が覚めるので、早朝3時くから起きてごそごそし、夕方7時ぐらいに寝てしまいます。

 

・「不規則型の睡眠覚醒パターン」とは、何となく昼も夜も、寝たり起きたりしてしまいます。

お年寄りなどに多いリズムの病気です。昼間は眠くて昼寝をしてしまって、夜は寝られなくて、よく目が覚めてしまいます。

 

・「非24時間睡眠覚醒障害」とは、自分の独自の体内時計のリズムで生活することによって、毎日後ろにズレていきます。

不登校やひきこもりに多いリズムの病気です。社会的要請などの絶対に起きなければならないという状況がないからズレていき、昼夜逆転します。

  

・盲目の人は、睡眠相が後ろにズレることがあります。「中枢の体内時計」約 25 時間ぐらいなので、一月ぐらいで、丸一日ズレてしまうので、仕事に行っても昼間にどうしても頭が働かず仕事にならないということが、月に1回ぐらい来るようです。 

 

 

 

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